2020年12月、「経営のための品質管理」ホームページを公開しました。公開する目的は、ホームページの主旨に記載の通り、日々仕事に困り果てている方に伝え改善のヒントを得て欲しいからである。
今日は、皆さんが困り果てている訳を少しお伝えします。
色んな企業さんを指導して明確化したことは、企業規模や業種に関係なく似たような困りごとが多い。その困りごとは、組織文化に関わることばかりである。具体的には、ホームページの「経営のための品質管理概要」や紹介する書籍「経営のための品質管理心得帳」に詳しく示してある。
また、この十年間に起こっている社会問題、例えば「経営トップ層による会計処理」「規格外品を改ざん」「電力会社の贈賄」「鉄道の脱線」「食材の偽装」…などもほとんどが、同様に組織文化の歪みにより起こっているとみている。
冷静に考えると誰もが問題だと理解できることだが、当事者になると目先の目的を果たそうとする思考が強く、近視眼に陥るために起こるようだ。これが、組織の呪縛を受けた状態であり、人間近視眼に陥るとどうしてもこうなってしまう。成り行きで生きていると避けられない宿命である。
本来、いかなる組織活動にも「目的」と「目標」があるのだが、活動が軌道に乗り出すとその原点を忘れてしまう。そして、今を生き残ることばかり思考することになる。ちゃんとしたプロセスを踏まずに、今の困りごとを即座に解決しようとするので、どうしても無理をしなければならなくなる。こうなると非科学的行為に走らざるを得なくなる。
あらゆる組織の存在意義は短期間であるはずはなく、いずれも未来永劫に存続することを願っているはずである。例えば、いかなる企業も経験する赤字決算は、一時的なスパイクノイズに過ぎないのだが、日々生き残りばかり考えていると、どうしても目先の損益が気になるものである。そうなると一時的なスパイクノイズも許されなくなる。そうして、組織はどんどん近視眼に陥るのである。長い目で見ると誤差にしか見えないスパイクノイズも許されなくなるとごまかして消し去ろうとさえするのである。あらゆる問題は、大体この様にして起きるようである。
冷静な人には考えられないことであるが、ヒエラルキーの呪縛を受けると、近視眼に陥り職権を超えた行為に走ってしまうのだ。職権を超える理由は、①職責を見失うこと、②やることが極めて簡単であり手間がかからないことにある。
誠実な人が頑張り過ぎると、組織の呪縛を受けやすくなり、組織の「目的」と「目標」を見失い目先の目標だけを果たそうとする。強い責任感は良いが、本質を見失うことに問題がある。
ヒエラルキーの呪縛を受けると、外部と閉ざされた「場」は孤立しやすいので極めて危険だということである。
活動している組織(企業・行政)には創業時の「原点」となる「経営理念」があるはずだ。「経営理念」は組織活動の目的と行動の指針が示されている。組織人が迷った時の道標となる。普段から、参画する組織の原点=「経営理念」に立ち返る習慣をつけるのが良さそうだ。
本Blogはこんな風に発行していこうと考えている。また、時には私の研究成果も示していきたい。次回は、「大部屋討議による組織の課題ばらし」プロセスを紹介したい。