Blog14.Blog8~12の復習
今回は、これまで発行したBlog8~12について復習しておきます。
Blog8.課題ばらしとは?
企業支援をする中で、広義の問題(狭義の問題と課題)の意味を知らずに仕事をしている人が多いことが分かった。Blog8で伝えたいことは次の二点。
一つ目は、問題と課題という言葉を理解するだけでも会話に客観性が生まれ、困りごとの解決が速まるということ。ここでは、(財)日科技連の定義を紹介している。
二つ目は、困りごとには沢山の問題と課題が団子になって存在している(複雑にみえる)。それで、団子をほぐす必要がある。ほぐし切った問題と課題はシンプルになるので、解決しやすくなる。この作業を課題ばらしという。
この基本を職場に定着させて欲しいと考え紹介している。
Blog9.課題ばらし(KFT)の進め方
ここでは、課題ばらし(KFT)の方法を解説してある。高度な困りごとでない限り、このプロセスを踏むことで誰にでも容易に課題ばらしができる。
この工程の一番のポイントは、①本音で語ること、②起こっている困りごとを素直に分析すること、③グループの周りの人は語り手に素朴な疑問を投げかけることで語りてには困りごとの本質が見えてくる。なぜなぜ分析し終えた段階で自ずとテーマが決まる。
この工程に大事なルールがある。それは、異なる階層(ボトム、ミドル、トップ)が混在しないこと。混在すると、議論が上位の階層の人に議論が引っ張られるからである。
Blog10.課題ばらし(KFT)の事例
ある企業で、ボトムチーム、ミドルチーム、トップチームごとにKFTを行った事例である。それぞれの付箋紙は一見大したことではないと思えるものばかりだが、実は普段公に語られる内容ではない。普段、皆思っていても「しようがないよね」と妥協して語りを止めているからである。
でも、この様に時間を確保し「なぜなぜ分析」していくと、放置できない問題が見えてくる。また、面白いことに企業規模に関係なく、多くの企業で同じような付箋紙が出てくる。ヒエラルキー構造になると、同じ問題が起っているということである。
このKFTプロセスを踏むことによって、組織の弱点部が鮮明に見えてくる。これらの問題や課題を解決すると組織の基盤が強固になっていく。加えて、組織文化が素晴らしいものとなり、持続可能な成長が進むというものである。
Blog11.健康のための未然防止(その一)
人は、どうしても足元の報酬(楽しいこと、嬉しいこと)を優先し、将来のための品質管理(未然防止)を怠ってしまう。これも人の脳の働きによる現象である。
Blog11は、私自身が健康管理に挑み、将来に備える要件を明確化したことを紹介している。ポイントは、①「含み損」に対する感性を持つ。②金銭勘定で評価すると分かり易い。③長い時間軸の物差しを持ち、「含み損」を予測し備えることの合理性を理解する。例えば、必ず起こる自然災害(「含み損」)に備えることを習慣にする。④老化を緩和させる科学的管理法を知り挑戦する
この4つの思考を持つと、少し長い目で物事を考えられるようになるようだ。人間は、もう少しゆっくり生きなければならないことがよく分かる。
Blog12.健康のための未然防止~backcast手法~(その二)
イギリスの認知症対策事例は、スウェーデンの未来予測レポートで使われる「バックキャスト(backcast)」手法――「将来のあるべき姿を想定し、それに基づいて、いま、何をしたらよいのかを判断する」――を用いた品質管理事例を紹介した。
少し高度な課題ばらし(課題形成)であるが、成熟した経済社会下においては、これまでのforecastを止めてbackcast手法で挑むことをお勧めする。
まとめ
日本の労働環境を見ると、人と人の連携の悪さが原因で大きな“仕事のロス”が起こっている。普段、この種の金勘定をしないので損失だと認識できないのだ。損失は、もの凄く高額に上っている――恐らく、総コストの30%位――が、多くの人は気が付かないでいる。
そのために、従業員は次に示す問題を抱えている。
① 人間関係の悪化で楽しくないことが多い
② 仕事のやり難さは辛く、かつ作業効率が低下する
③ 長時間労働を強いられる。長時間の割に報酬金額は高くない
④ 会社の経営力が高まらないので賃金が上がらない
⑤ 仕事中心に陥り家庭サービスや地区の仕事ができない(家庭に安らぎがない、生活している地区の活動ができない)
⑥ 加えて、“おもてなし”を強いられ、“自分のために生きる”ことを忘れてしまう
「経営のための品質管理心得帳」は、こういった労働問題を改善することが狙いの一つである。つまり、仕事一本の生活は家庭や地区の活動が疎かになり、社会循環に大きなひずみが生じることになるからである。
そこで、もう一歩踏み込んで“何のために働くのか”と問いかけてみて欲しい。恐らく行きつくところは“自分のために働く”ことになろう。家族のある方にとっては“家庭のため”となるであろう。
社会に良い循環をつくるために“自分のために生きる”文化を作ろうではないか。
次回は、ドイツ国と日本国の文化の違いについて紹介する(書籍「経営のための品質管理心得帳」のコラム1p.17で紹介してある)。
以上