掲題は書籍「経営のための品質管理心得帳」山岡修著のコラムp.17で日独産業協会隅田貢氏のコメントを紹介しているが、品質管理に重要なことなのでもう少し詳しくお伝えしたい。
前編で「ドイツと日本の生産性の違い」を示し、中編で「日本はなぜそうなのか」を分析し、後編で「日本はこれからどうするのか」を考えていく。
官民学の若い方達は、ドイツ人と日本人の違いをきちっと理解した方が良い。皆さんの仕事に直結したことなので、大きく改善するヒントを得られるはずである。
<目次>
1.ドイツと日本の生産性の違い
1.ドイツと日本の生産性の違い
ドイツ人と日本人の生産性について、TV番組BS11イレブン 2018.2.8報道ライブINsideOUT「仕事の生産性はドイツ人に学べ」で隅田貢氏が語られていた内容を示す。※データは経済協力開発機構OECD2016が用いられている。
【ドイツと日本の違い】
ドイツの生産性は日本の1.5倍、ドイツの労働時間は日本より350時間短い
詳細は、隅田貢氏の書籍「仕事の生産性はドイツ人に学べ」株KADOWAKI2018.1発行を参照ください。
隅田氏は、生産性の違いを紹介した後で、次に示す“ドイツ人文化”と“日本人文化”の違いを3点示された。生産性の違いは、文化の違いによるところが大きそうである。
その一、労働観の違いについて
- ドイツは、国民を労働者として保護してきた。→「良いものは高く!」労働者を優先。
- 日本は、国民を消費者として保護してきた。→「良いものは安く!」顧客を優先。
その二、人々の生き方の違いについて
自立しているドイツ人 →自分の人生を生きる。そのために働く、家族のため。自分の人生を優先するため
に、仕事を早く終える。仕事を早く済ませられるように創意工夫する。合理的にするために役割を決める
(職務分掌や職責を明確にする)、ルールを決める、標準化する、教育と伝承をする。 すべて科学的管理法
である。仕事が明確だからモチベーションが上がり、人材が育つ。従い、忖度や迎合の必要はない。挨拶も
必要最小限にとどめる。
サービス旺盛な日本人 →日本人の挨拶は、相手を意識することから始まって、本論に入り、本論を終えて〆
の挨拶をする。サービスは受け手には好評だ。響きの良い“おもてなし”が典型的でもある。時には、人を思い
やり、人を見る、気持ちを読む、周りの空気を読む。時には、皆で頑張る、家庭を犠牲にしてでも働く。
一方、会議をダラダラやるが決まらない。先送りが容認されている。何事も皆で議論して決めたことであれ
ば、いかなる結論であろうと問題にはなり難い。皆と同じなら、まあまあ安心できる。
その三、連携の取り方の違い
日本とドイツでは、連携のとり方が異なる。
- ドイツ →①理にかなった協調(なぜそうするのかが明確)、②自分のため、家庭のために合理的に働ける様に連携する。
-
日本 →①和を重んじる。同調に近い(空気を読みあつれきを避ける。暗黙の了解が通用する)。※思いやり、人を見る、気持ちを読む、周りの空気を読む、皆で頑張る。②時には、同調のために家庭を犠牲にしてでも頑張って働く。
以上が隅田貢氏の解説である。
これだけ生産性が高まれば、馬車馬のように労働している日本の労働者は苦痛から解放されるであろう。良いところは日本もどんどん学ぶべきである。
次のBlog20中編とBlog21後編で、日本の文化を分析していく。
(参考)ドイツを理解するのに有用な他の書籍を紹介しておく。具体的な事例が紹介されている。
熊谷徹著「ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか」青春新書、@880円
以上