Blog2.組織連携(大部屋討議)のプロセス

 多様な人材で構成する組織は、沢山の問題・課題を抱えている。上手くいかないと、どうしてもトップダウンが強くなり、組織運営は悪循環を繰り返しやすくなる。これは、普段からトップに情報が上がり難いことが一因であり、組織の宿命でもある。
 本書「経営のための品質管理心得帳」は、その様な組織を活性化する手法を提供するものである。つまり、働き方改革の方法である。
 ここでは、理解が進むように標準的なプロセスを示す。

 

<目次>
1.問題がある組織
2.改善活動

 

1.問題がある組織
 組織に問題があるが、組織内の人は呪縛を受け解決できないでいる。ボトム、ミドル、トップ層の信頼関係が崩壊し、断絶が図ー1のように起こっているからである(図-1はこちら)。
 活動の前に、皆さんに困りごとを吐き出してもらい、活動プロセスを確定する。
 以降に示すのは活動の事例である。

 

2.改善活動
Step1.活動組織を編成する    
  経営トップがリーダーシップを発揮できる活動組織を編成する(図ー0はこちら)。
Step2 講座図-2はこちら)で物事の本質を理解する
 一人ひとりが受けている組織の呪縛を取り除くプロセスである。組織の呪縛を取り除ければ、潜在能力を発揮できるからである。
Step3 階層別(ボトム、ミドル、トップ)に「課題をばらし」をする
 「K本音の語らい」→「F意味の明確化」→「T問題・課題ばらす」を行う。(図-3はこちら)(図ー4はこちら)(討議風景はこちら)。ここでのポイントは階層を別グループにすること。
 注釈)普段上手くいっていない理由を共有化する「場」である。トップが謙虚に受け止めると組織に一体感が生まれる。                
Step4  階層のTを全員で共有化し、組織全体の「問題と課題」を定める
  全員で明確化した問題と課題を共有化する(図-5課題ばらし事例はこちら)。トップとミドルとボトムで同じ認識に立つ。そして、組織で取り組むべき「問題と課題」を定める。

  この時、トップは初めて現場の状況が認識でき、ボトムの悲劇が解消する場面である。また、ボトムとミドルはトップの困りごとを理解し、トップの悲劇が少し解消する。またミドルも経営を少し理解し、連携が起る(図-6はこちら)。これまで、階層間で断絶が起こっていたが、議論を通じて初めて連携の下地が出来上がる。          
~ここで一旦テーマから外れて組織の「ありたい姿」を描く~

 

Step5 トップ層が将来の「ありたい姿」を描く
 トップチームが組織の「現状分析」をして将来の「ありたい姿(10年後の姿)」を描く(図-7はこちら)。なぜならば、事業の目的と目標を定めなければ組織は航海できないからである。
 注釈1)普段、トップ層には本音の議論が欠けている。このプロセスを用いトップ層の「本音の議論KFT」を行う。やってみると結構良い議論が展開される。
 注釈2)誰もが現状維持(足元の問題)に四苦八苦しているので、組織の将来は考えられないでいる。そうして時間だけは直ぐに3~5年が過ぎ去る。人づくりは時間がかかるのだが何もできないままである。だから、将来のありたい姿を描いてみる。絵は皆で共有化しやすい。
 注釈3)「ありたい姿」実現には、「財務」「顧客」「内部プロセス」「学習と成長」の観点で整理するとやらねばならないことが明確化する。

 ~「ありたい姿」と本音の語らいから得られた「問題と課題」を付き合わせる~
Step6 「ありたい姿」とStep4から短期と中期テーマを決める
 短期は単年度、中期は3年を目安にする。
 先ずStep4の問題と課題は優先すべきテーマである。
Step7 職責(権限と責任)に応じて、改善テーマの担当を決める
      注釈)ボトム、ミドル、トップ全員が担当する(図-5はこちら)。
Step8 各々のテーマを「問題解決法」と「課題解決法」で取り組む
 テーマを目標管理シートで月例報連相していくと、自然とタテ連携が強固になる。またテーマに挑戦する人材が育成され組織力が高まる。
       注釈)「問題解決法」はQC手法、「課題解決法」は「企画力」が必要。
Step9 全階層のモチベーションが高まる
 ボトム層は当初の「困りごと」が少しずつ解決していくのでモチベーションが高まる。ミドルとトップ層は「現場視点」が高まり、役割が明確化する。組織全体は、徐々に「ありたい姿」に向かう。
Step10 自走で「ありたい姿」を実現していく
 Step1~8のPDCAを繰り返す。目標管理は有期限であるが、改善活動はエンドレスで行う。
                                               以上