Blog23.自然災害史から防災に備える

 私自身自然災害に遭遇していないこともあり、自然災害の怖さを理解できていなかった。
 少しでも自然災害を理解しようと、専門家の知見を拝借して「滋賀の自然災害史」をまとめた。
     お陰で備えに大きく前進することができた。
 次は、まとめる過程で私がつかんだ自然災害の脅威とまとめた「しがの自然災害史」である。
<目次>
1.取り組みプロセス
2.滋賀の自然災害まとめ概要
3.自然災害に備えるために
4.振り返り
 
1.取り組みプロセス
第一段階 皆さん、なぜ防災・減災しないの?
 ①今は何も起こっていない、②災害が実感できない、③面倒くさい、④何していいかわからないなどという。背景に「災害の脅威」がわからないからという。
第二段階 良く考えると、私も防災士であるが滋賀の災害の脅威が分かっていない。防災士の仲間も分からない。地区の人もだれ一人分からない。それで、ほとんど備えていない。 
第三段階 それではまずいということで、かつての滋賀の自然災害を知るための調査を開始した。
沢山の人の研究資料・書籍そして滋賀県をはじめとするH.Pを調べたところ、沢山の研究成果や記録があった。まとめるのに2019.6~2019.9まで要した。 
第四段階 色んな資料を整理していくと、点が線になり面になり少しずつ滋賀特有の自然災害構造が分かりだした。同時に脅威を感じるようになった。歴史をひも解く意義が理解できた。
 
2.滋賀の自然災害まとめ概要
 滋賀の災害史『しがの自然災害鳥瞰』を作成した(こちら)。大きな押さえどころは三点である。
 一つ目は、琵琶湖を有するために起こる水害である。構築された治水は、琵琶湖・淀川水系システムで京阪神1,400万人の重要な水源を供給し、かつ琵琶湖・淀川水系の水害を管理していること。昨今の温暖化問題による豪雨への備えはどうか、今一度考える必要がある(課題)
 二つ目は、かつての南海トラフの前兆地震が我々の滋賀にも甚大な災害をもたらしたことである。また、南海トラフの本番の地震が起こり沿岸地域の産業が停滞すると物流面の問題が起こる可能性がある。南海トラフの前兆地震、本番の地震、物流面の停滞という問題に備える必要がある。更に、湖岸沿いは地盤が弱いこともあり、各種地震により液状化が起こりやすい問題もある。
 三つ目は、自然災害ではないが、滋賀に近接する福井県小浜市の原子力発電リスクがある
 
3.自然災害に備えるために
 一つ1995年の阪神淡路大震災が契機で、我が国は地震を研究し機構を明らかにしつつあるこれらの知見と自然災害史を併せることで、災害問題の本質が分かってくる地区のリスクを読んで備えていけば、大がかりなことをせずに防災・減災できそうである
 二つ、我が家は、一か月に一点の備えを一年間行って必要な備えができた。住居地のリスクは、毎日の散歩で河川や土地の特徴を知り、かつハザードマップから読み取ることができた。
 三つ、只今、整理した「しがの自然災害史」を防災士や地区の皆さんと勉強して理解を深めているところである(地区の皆さん2,000世帯に展開したいと考えている)。
 四つ、最終的には、向こう三軒両隣17世帯の防災・減災につなげようと活動中である。最初はでしゃばる奴とみられたが、慣れてくるとコミュニティーが少しできていくようだ。
4.振り返り
 今回、先人の足跡を辿ることで防災の何かを発見できるのではと考え「滋賀の自然災害史」を振り返りしてみた。調べてみると、沢山の人達が滋賀の自然災害記録を残されていた。直ぐに広く資料を読ませていただき、自然災害の構造を整理した。災害構造を整理すると、自分の立ち位置における災害の脅威をある程度抱くことができ、備える必要性を強く認識することができた。つまり、あれもこれもではなく、やることが絞られてくるので、防災活動がしやすくなった。私の場合、月に1~2件処理して、一年間でほぼ備えを終えることができた。
 その後は、次々に明らかになる世界・日本の研究成果や自然災害事例から吸収し、肉付けすることで備えを進化させている。この作業は私の防災メンテナンスであり止めてはいけないことだと、やってみて良く理解できた。
 こういった行動で、ある程度の備えが可能になるということである。100%ではないが70~80%備えることができれば、生命と財産を失うことはなくなるように感じている。
 歴史は物事の現在に至る来歴なので、振り返ることは極めて大きな意義があると理解できた。過去の自然災害は、自分自身が存在していないので体験がないが、本質を追求すれば当時に近いことが頭の中で理解できるようである。
 本書「経営のための品質管理心得帳」の研究と同じことである。

                                               以上