Blog6.企業の困りごとを解決する支援プロセスの意義
私が行っている経営支援のプロセスをBlog2で紹介した。
今回は、支援プロセスの有効性について解説する。
<目次>
1.支援が必要な背景
①企業の困りごと
②問題の本質
2.支援すること
3.まとめ
1.支援が必要な背景
① 企業の困りごと
経営コンサルタント活動で分かったことは、企業の規模に関係なく多くの企業の困りごとは次の通りでした。
一つ目、組織の課題がつかめないこと
誰もが自組織に問題が多いことは分かるが、何をどうすればよいのかが分からず手が打てていないケースが多い。つまり、課題がばらせていない状態である。
この主な原因は、組織のタテとヨコの連携の悪さにある。組織内の人々は問題をボヤっと自覚しているが、孤立しているので確からしさを認識できないでいる。一人ひとりの問題認識は同じでも共有化できないと組織の課題になり難いのだ。
組織の課題がつかめないと、経営の改善活動が進め難くなる。これが連携の悪さから起こる経営効率の低下――組織が機能しない状態――であり、時として、経営は悪循環に陥りやすくなる。
二つ目、組織が機能しないとトップは独裁的になりやすいこと
現場情報が上位層と共有化されずかつ、組織が機能しないと、トップは現場の状況を考えずにトップダウンを強化せざるを得なくなる。そうなると、ボトム、ミドルは馬車馬のようにふるまうことになり、疲弊が伴う労働に陥っていく。
三つ目、賛同できないものは辞めていくこと
賛同できない者は辞めていく。組織はyesマン比率が高まり、益々yesマン文化が強まるので、何年か経過すると組織は受け身体質となる。極めて脆弱な組織に陥る。
四つ目、人材が育成できないこと
人が育たないので組織力が低下する。時には後継者育成も疎かになる。
② 問題の本質
適当な売上高、利益率が得られている時、つまり仕事があると皆顧客のために頑張る。更に儲けようとボトム、ミドル、トップが作業に集中(力仕事)するあまり、経営効率を高める改善活動が疎かになる。
その様な状態で運営していると、同業者に比べて競争力が低下し、儲けが少なくなる。更に、ゆっくり考える「場」がなくなり、将来に備えるための課題をばらしと課題解決の活動が止まると――組織機能が弱い状態――どうしてもトップダウンが強くなる。そうなると、下位層は指示待ちの状態になり組織は悪循環に陥る。
この状態が続くと、経営上一番大事にしたい「経営理念」(組織活動の目的)はどこかへ吹っ飛び組織風土は崩壊していく――組織運営の目的を失うので、活動にゆがみが生じる――。そして、居心地の悪い組織風土は人々が離れていく。
2.支援すること
次のステップを踏み、組織(企業)のタテとヨコ連携を高める支援をしていく。
第一、トップに困りごととありたい姿を語ってもらう。皆で改善の必要性を認識する――活動を起こす動機付け――。これが活動の大義になる
第二、セミナーで経営上の問題の本質を伝える――呪縛を取り払う作業――
第三、階層別にグループで「困りごとを本音で語る(不満を吐き出す)」
第四、困りごとの意味を明確化する――その意味はどうしてなの?と周りの人が問いかける。課題をばらすプロセスである――
第五、階層ごとの課題を全階層で共有化して、会社(組織)の問題・課題を明確化する
第六、全社の問題・課題(テーマ)を全階層で分担して解決に当たる――トップ層、ミドル層、ボトム層がテーマを担当する――
支援の基本はここまでである。
組織の呪縛を取り払い本音の議論をすることで信頼関係が高まり、連携が良くなる。そして、トップの視点が変わるので、働く人々は受け身から主体的に動き出すようになる。タテとヨコの連携が経営を大きく変えることができる。
3.まとめ
この活動を通じて、トップ・ミドル・ボトムの思考が次のように変わっていく。
① 全員が当社(組織)の課題(狭義の問題と課題)を初めて理解する――活動の方向性が見える――
② トップは、ボトムとミドルの高い能力を認識する――任せられると認識――
③ トップは、強いトップダウンから権限を委譲する(任せる)ようになる
④ ミドルとボトムは、権限を得てやり易くなり頑張る
⑤ トップは、トップの仕事に注力することができる
⑥ 全員が課題解決に取り組む――職権に応じたテーマを担う――ので、日頃の困りごとの改善が一気に進 む。そして、問題解決、課題解決プロセスを踏むので人材が育つ
本来、この活動こそ日々の経営であるので、支援は数回行った後自社で活動が進むように配慮していく。
受け手も自主的に活動が行われるように社内の仕組みをつくる努力が必要である。特にトップ層の考え方と行動が一番重要である。
こうして経営の基盤が出来上がると、「現状維持」と「現状突破」の活動が進めやすくなる。働く人々が自ら活動するからである。
組織のタテとヨコが連携すれば、安いコストで多大な利益が享受できるのだ。
以上
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