Blog8.課題ばらしとは?

 企業支援の中で、「問題」、「課題」や「課題ばらし」という言葉の意味が、意外と知られていないことが分かった。「課題ばらし」は別としても、「問題」と「課題」は日常会話で頻繁に使われている用語であるが、よく確認すると漠然(問題と課題が混在)と使われているのだ。
 今回は、最初に「問題」と「課題」の定義を伝え、その後で「課題ばらし」を説明する。
<目次>
1.「課題」の定義
2.「課題ばらし」とは
3.さいごに
 
1.「課題」の定義
   私が用いている定義は、一般財団法人日本科学技術連盟の資料JUSE/実MC2015tt
  です。次に示すのは、JUSE/実MC2015ttの引用です。
  「広義の問題」は、「狭義の問題」と「課題」を表すとしている。
1-1.「問題」について
 狭義の問題(以下問題と称す)は、基準があり基準を満たしていなければ、現在のレベルと基準との差異が「問題」となる。
 モノづくりもサービスも、あらゆる工程を標準化しておくと(基準を設定)、基準から外れた時に誰でも同じように「問題」だと判断できる--議論の余地はなく、即是正すればよい――。迅速に対応できるので物事の効率が極めて良くなる。従って、あらゆる工程は可能な限り標準化――基準を設ける――しておくことが効率化のセオリーである。
 品質管理を考案したジュラン博士(1904~1989)は、品質マネジメントのための普遍的手順は「現状維持」と「現状打破」だと説いている。「現状維持」の一つは「標準化」である。「現状打破」の一つは、次項1-2の「課題」解決である。
 なお、「問題」を解決するには、QC的問題解決法(*1)を用いると良い。
1-2.「課題」について
  「課題」は、有期限の「めざす姿」と現在レベルの差が「課題」となる。あるいは、将来においての「ありたい姿」と現在レベルの差が「課題」となる。
 より高いレベルの目標――「めざす姿」「ありたい姿」――を描き、課題を解決する行為の一つが前項1-1に示す「現状打破」である。
 「課題」を解決するには、課題達成型QCストーリー(*2)が有効である。(*1,*2:「Visual品質管理の基本」〔第4版〕内田治著p.76,p.92参照)
 
2.「課題ばらし」とは
 誰もが日々の経営(仕事)の中で感じる「困りごと」「気になること」「関心ごと」が、「現状維持(管理)」や「現状打破」を起こす切っ掛けになる。
 働く人々は改善意欲が高いので、「困りごと」「気になること」「関心ごと」を改善しようと挑むのだが、なぜか作業がはかどらないことが多いものである。
 その訳であるが、「困りごと」「気になること」「関心ごと」は沢山の要因が絡んで起きている。つまり、多くの問題や課題が団子状態で存在しているのだ。だから、団子をほぐす作業が必要になる。ほぐし方は、一つひとつの「困りごと」「気になること」「関心ごと」の意味を明確化することで可能になる。例えば、それどういうこと?なぜなの?という風に物事の本質を追求していくと自然とほぐされていく。ほぐし終えた時に「問題xxx」「課題xxxx」という様にテーマが明確化されていく――簡単になる――。
 こういった訓練を行えば、日常的に起こる「困りごと」「気になること」「関心ごと」を即座にテーマ化できるようになる。
 なお、高度な課題は、専門書「企画書の作り方」があるので参考にするとよい。
 
3.さいごに
 Blog 2「大部屋討議のプロセス」で用いている「課題」「課題ばらし」の意味は以上のとおりである。
 企業、組織のメンバーは、改善活動を促進するために「問題」「課題」の定義を理解して欲しい。
 次のBlog9では、「課題ばらし」のやり方を説明する予定である。

                                               以上