組織の経営目的を果たすために、組織や自分の課題(狭義の問題、課題)を形成し(課題ばらし)、テーマ化して解決していく必要がある。
今回は、グループ討議で行う課題形成――課題のばらし方(KFT)――を説明する。
次回は簡単な事例を紹介する予定である。
<目次>
1.「経営のための品質管理心得帳」講座
2.大部屋討議の最初に討議の「目的」と「目標」を設定
3.K(気付き、関心ごと、困りごと)を吐き出す
4.Kを共有化する
5.Kをグルーピングする
6.Kの意味を明確化Fする
7.Fから課題Tを形成する
1.「経営のための品質管理心得帳」講座
討議の前に、「経営のための品質管理心得帳」の講座を行う。
多くの組織人は、普段大なり小なり組織の呪縛(心理的に人の心の自由を失わせること)を受けており、本来の能力を発揮できない状態にある。講座は、呪縛を取り払うために行うものである。
2.大部屋討議の最初に討議の「目的」と「目標」を設定
最初に討議の「目的」と「目標」を設定する。もし討議が発散し迷ったら、必ずこの「目的」に戻る。次は大部屋討議で設定した「目的」と「目標」の事例である。
注)人モノ金を使う時は、必ず「目的」と「目標」を定めて活動する。
【目的】
・当社の課題が明確化され、課題解決が進んでいる
・人材育成と経営力向上が図られている
【目標】
・本音の語らいが起こり、タテとヨコの連携が進んでいる
・科学的管理で思考する力を醸成する
・メンバー同士が相談する、協力する、学ぶ関係を作っている
・生産性を高めるためのテーマを設定し、職責に応じて担当を決める
3.K(気付き、関心ごと、困りごと)を吐き出す
講座を聞いて、日頃の仕事の中でK「感じたこと」、「困っていること」、「気付き」を付箋紙に記載する。
注)本音で語れば、必ず本質が明確化していく。個人の問題にはならずに解決されていく。包み隠すと闇から闇へ葬られていく。
4.Kを共有化する
グループのメンバーで共有化する。全員が理解できるまでやる。
注)自分にない何かを他人は必ず持っている。組織で活動している以上、他人を無視するのではなく、他人が何年もかけて得たものを謙虚に利用することにある。本来組織とはそういうものである。
5.Kをグルーピングする
関心が低いKは一旦横に置く。できるだけ優先度をつけ絞るほうが良い。類似のKをグルーピングする。可能な限り整理する方が、後の工程が楽になる。
注)議論したことは全て、メンバー全員の貴重な資産である。
6.Kの意味を明確化Fする
どういうことを言っているのかを事実関係で皆に分かるように示す。できるだけ3現主義で、具体的に問題の事例を交えて表現する。重要そうな付箋紙を優先的に明確化していく。重要そうな付箋紙が沢山あれば、優先順位をつけて同様に行う。
次に、もう少しやり方を具体的に示す。
もし、メンバーに意味が分からねば、Kの提示者に意味を確認していく。例えば、「何に困っているの?」「なぜそうなの?」「ルールはないの?」「企業風土はどうなの?」と「なぜなぜ」を問いかける。複雑に絡まっているひもをほぐす様にばらしていくと、困りごとの本質が見えてくる。ほとんどが、普段言い難い(言えない)マネジメント問題に辿り着くことが多い。
ここで注意することがある。F原因分析をしている中で、対策に入る人がいる。人間の頭は原因と対策を同時に考えることはできない。この段階は対策を考えないこと。
7.Fから課題Tを形成する
F「なぜなぜ分析」して要因系をばらしていくと、「問題」と「課題」が形成できる。「問題」を解決するには、QC的問題解決法(*1)を用いると良い。「課題」を解決するには、課題達成型QCストーリー(*2)が有効である。(*1,*2:「Visual品質管理の基本」〔第4版〕内田治著p.76,p.92参照)
もし、「問題」がマネジメントに関することであれば、上長を交えて「自分が解決すること」「会社が解決すること」「上司が解決すること」に分けて担当者を決める。上長を抱き込むとやり易くなる。
以上